「改正個人情報保護法の施行(2)」

業者は,一般に個人情報を取り扱うにあたり,原則として

①その利用目的を特定し

②①で特定した利用目的を本人に通知,又は公表

しなければなりません。

そしてその利用目的に必要な範囲内であれば,個人情報を取得するにあたって本人の個別の同意を得る必要はありません。

(ただし,取得した情報を第三者に提供する場合は別論)。

 

ただし,以上は一般の個人情報についての規定です。

病歴等の要配慮個人情報については,前回お話した通り,その取得にあたって原則として本人の同意が必要となります。

上記①②に加えて,③個別の同意が必要になるというイメージです。

もっとも,この「同意」というのは,状況的にその同意があるということが明らかであれば,明示的な同意は不要です。そして,患者が良質で適正な医療の提供を受けるためには,また公的医療保険の扶助を受けるためには,医療機関が患者の要配慮個人情報をふくめた個人情報を取得することが必要不可欠です。したがって,患者が医療機関の受付等で受診を申し出ることは,患者自身が自己の個人情報を医療機関が取得することを前提としているため,当該患者の黙示の同意があったものと考えられます。

すなわち,医療機関が患者から要配慮個人情報を直接取得する場合には,原則として明示の同意は不要ということになります。

 

なお,同意を要しない例外としては,

・法令に基づく場合

・人の生命身体財産等の保護のため特に必要のある場合であって,本人の同意を得ることが困難な場合

・公衆衛生の向上又は児童の健全な育成のために特に必要がある場合であって,本人の同意を得ることが困難であるとき

等が挙げられます(法17条2項)。

要するに,当該情報を取得する必要性が大きく,かつ本人の同意を得ていたのでは不都合が生じる場合,には例外的に同意が不要だということです。

なお,これらの場合は,基本的に①②も不要となります(法16条3項,18条4項)

 

したがって,例えば急病その他の自体が生じた場合,本人の病歴等を医師や看護師などの医療従事者が家族から聴取する場合には,法17条に基づき本人の同意なくして要配慮個人情報の取得が可能です。

 

次回は,個人情報を第三者に提供する場合について書く予定です。

 

 

最後までお読み頂き,誠にありがとうございました。

 

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